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2020年10月2日ニュース
「アドバイザーのつぶやき」第8回を投稿しました。
★アドバイザーのつぶやき 第8回 20/10/2★
私が卒業した大学では、卒業25周年を迎えた卒業生はその年の卒業式に招待され、その晩に同窓会組織主催の盛大なイベントに出席し懐かしい旧友との再会を果たしますが、その前年(2005年)の秋に学部毎(複数の語学クラス毎)に有志によるキックオフがあり参加した時のことです。冒頭の幹事の挨拶の中に「経済学部同期の皆さん、お久し振りです。最近は母校の看板学部の座を法学部に取られてしまってとても残念ですが」というフレーズがあったことを鮮明に覚えています。おそらくこの幹事はいわゆる入試偏差値で看板学部を比定したんだろうと推測します。
1990年代、平成バブル崩壊に端を発した経済の混乱が続くなか、企業の大型倒産・統廃合、工場の海外移転等でGDPが低迷し1997年に消費税を5%に上げて以降デフレに拍車がかかり、就職氷河期が到来、非正規雇用者の就業者全体に占める割合が増加するなど、経済政策に対する信頼が大きく低下するにつれ「経済学」への期待や評価も萎んでいったと考えられます。一方、弁護士など法曹関係の資格を取得し企業に頼らず社会へ出ていこうとする傾向が強くなり法学部の志望動機が高まっていったと思います。14年経過した今でも母校の入試偏差値は法学部法律学科>経済学部となっているようです。
安倍内閣が菅内閣に変わり、アベノミクスに対する評価について世の中かまびすしいこと極まりないですね。20年以上続いてきた悪性のデフレからの脱却を第一の矢に据えていましたが、意見は割れるかと思いますが私は少なくともデフレのさらなる進行を止めたという点で大いに評価できると思います。2013年から開始した大規模な量的金融緩和によって景気に刺激を与え2019年の名目GDPは550兆円を超えこの間50超円あまり増加しています。2014年、2019年と続けて消費税率を10%まで上げたにも関わらずです。1997年の消費税増税後1999年には法人税収入・所得税収入の減少金額が消費税収入の増加金額を約2兆5千億円も上回っていました。この相違はその背後にある大規模な量的金融緩和の有無によるところが大きいと思います。1992年と2012年の名目GDP水準はほぼ同じです。日本経済を一つの会社とみるならば20年間で収益の変わらない成長の無い沈滞した組織といえます。20年間に平均年齢は上昇し医療費や年金費用などの運営費用は相当額膨れ上がっています。万一、アベノミクスの実行が無いまま新型コロナの嵐に襲われていたならば日本は悲惨なカタストロフィーに見舞われていたことは否定できないでしょう。一方、デフレから離陸するための物価目標2.%は殆ど達成できていません。これは第二の矢の機動的な財政政策と第三の矢の規制改革による成長戦略が不十分だからと考えられます。これは菅政権の縦割り行政打破による規制改革とITデジタル投資に代表される各種の成長戦略に期待するところ大です。
今後、ファミリー企業は①マクロな経済状況をよく分析し適切な知識をアップデートする習慣を身につけ相応しい人材を育成すること、②先々「デフレマインドの強い経済政策」が再び採用されてもそれに抗するためファミリー内の結束をより強める「家族憲章」を定めておくこと、③ファミリー企業が成長し継続発展していくための「転ばぬ先の杖」としてBCPを定めてファミリー内で可視化・共有化しメンバー間で「情報の非対称性」を生じさせないこと、④これら3つの対応をアシストするパートナーを得ること(当社フィーモを選んでいただければ望外の喜びです)が有益であると考えます。ビスマルク初代ドイツ帝国宰相による「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉は蓋し名言であると思います。永いデフレの低迷期に多くのファミリー企業も倒産廃業することとなり経営者も謂れのない非難を浴びました、一民間企業では想定外の経済変動(超円高、急激な金融引き締め)なのに世間は容赦ない厳しい目を経営者に向けてきました。そのためにも特にファミリー企業は同じ目に遭わないための自衛が必要なのです。
なお参考図書として、現在、経済財政諮問会議の民間議員を務める竹森俊平・慶應義塾大学経済学部教授が著した「世界デフレは三度来る(上・下)」(講談社BIZ 2006年)を推奨します。デフレとは何か、デフレの怖さに等について、ボリュームはありますがマクロ経済金融の歴史を学ぶ中で理解することができます。経済学も見捨てたものではないことを体感して頂きたいと願っています。byHT
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